東京物理学物語

自分の頭の中を整理するために勉強したことを書いてゆく

Wald, Section3-1,3-2まとめてみる

秋になり、気温の変化が激しい。昨日はあんなに冷えたのに今日は意外と暑いぞ、なんて日の連続だ。それに伴って、なんと体調を崩してしまった私。WaldもPeskinもその他の勉強すべて一旦中止…。風邪が長引くことを恐れてひたすら寝込んだ。体はだるいが寝付けない時間もあって、そんな時に自分のやりたいことができないもどかしさっていうのはなかなかに辛いものがある。

さて、肉体的に苦戦しながらもWaldのchapter3の前半を一応読んでみた。section3.1ではderivative operatorを導入。そこではdual vector field {\omega_{ab}} に対する2種類のderivative operator の作用の仕方の違いを考察することで新たなtensor field C_{ab}^{c} というものを導入した。2つのderivative operator に付随して定義される  tensor field ととらえてよいのだろうか。2つのderivative operator のうち、片方がordinary derivative operator  \partial _{a} である場合にこの C_{ab}^{c} \Gamma _{ab}^{c} と書かれるようだ。この記号は見たことあるぞ。クリストッフェル記号とか呼ばれていたな…。C_{ab}^{c} については接続係数と呼べばよいのだろうか。このあと、接続係数(?)の性質だったり、higher rank の tensor field について考察したり、ということをしている。

ここまで読んで思ったこと。C_{ab}^{c}tensor ではない、という風に僕は教わった。内山さんの本かシュッツか、どっちかに書いてあった。けれどもここでははっきりと"tensor field"と言っているではないか。どうなんだろう。と、思っていたら気になる文章があった。

 \Gamma _{ab}^{c} は通常のテンソルの変換則に従わない.

これまで読んでいた本ではテンソルを変換則で定義していた。そうなるとその変換則に従わない量はテンソルとは呼べない。しかしここでは変換則で定義していないため、 \Gamma _{ab}^{c}テンソルと呼べるようだ。定義は大事。とりあえずやっぱり \Gamma _{ab}^{c} は少し他とは性質が違うみたいだ。この性質の違いが等価原理に大きくかかわってくると信じて先を読み進めよう。

このあとはさらに平行移動の定義をしている。定義をしているのだが、実はここがまだ曖昧な理解だ。

曲線C上にあるベクトル場v^{a} があってそれが平行移動である、とは

t^{a} \nabla _{a} v^{b} = 0

を満たすこと。ただしt^{a}Cの接ベクトル。

と書いてある。(ひょっとしたら訳し間違えているかも)定義にある条件を満たせば、このベクトル場は曲線に沿って平行移動している、という言い方で正しいのか?ここに書けるほど平行移動をちゃんと飲み込めていないことがわかった。とにもかくにも平行移動が与えられると今度は、各点ごとに与えられた vector space をつなぎ合わせることができるそうだ。これこそが接続(connection)。そして接続は曲線に依存した概念である、ということだ。つまり、共変微分あるいは \nabla _{a}を与えることと平行移動を定義することは同じ事で、平行移動を定義できれば接続という概念も生まれる、ということだろう。さらに、そこにmetric g_{ab}でもあろうものなら \nabla _{a}は一意に決まってくるのだ。その証明も載っていた。(といっても僕はこの証明はあまりしっくりこなかった)

Section3.2では curvature の概念が登場する。いよいよって感じだ。しかもEinstein tensor まで登場するから一般相対論をやってる感が出てくる。とは言ってもこの段階で出てくるくらいだから実は Einstein tensor って非常に数学的な導入なんだな、と思った。

さて、曲率(curvature)が何なのか、というとつまりは考えている空間がそもそもどれだけ曲がっているか、ということを表しているように思える。空間が曲がっているか調べるためにはどうすればいいか?という問いの答えとしてここでは閉曲線を使った議論をしている。まずは平らな面に閉曲線を描く。どんな線でもいい。この上で適当なベクトルを平行移動させる。ほら出た、平行移動だ。当たり前であるが一周して戻ってきたベクトルは始めのベクトルと一致する。しかし、これは平らな面の上だからできる芸当なのだ。曲がった面の上で同じことをやろうとすると一周したベクトルは初めのベクトルと一致しない。このように閉曲線上でベクトルをグルっとさせるだけで空間が曲がっているか曲がっていないかということを調べることができる。グルっと一周させたときの「元のベクトルとの一致のしなさ」として曲率を定義する。定義としては次のようになる。

Riemann curvature tensor  R_{abc}^{d}とは

(\nabla_{a} \nabla_{b} - \nabla_{b} \nabla_{a}) \omega_{c} = R_{abc}^{d} \omega_{d}

というtensor

そして、曲率テンソルの様々な性質を調べた後Ricchi tensor や scalar curvature などを定義する。曲率テンソルの性質の一つにBianchi 恒等式というものがあって、これを2回縮約するとEinstein tensor が自然と現れる。ちなみにEinstein tensor G_{ab}

G_{ab} = R_{ab} - \frac{1}{2} R g_{ab}

で定義されるテンソルである。chapter3.2はここまで。

疑問点はそんなにないのだけれど、まだ直感的なイメージができていないかな。それから途中で出てきたWeyl tensor は謎。意味が分からない。Appendixに書いてあるらしいからそこは丁寧に読もう。

着実に数学的準備が出来上がりつつある感覚だ。このあと測地線などの話をしていよいよRelativityへ…!わくわくする。今一番モチベーションが高いのはWaldかもしれないというくらいわくわくする。でもあんまりわくわくしすぎても体に悪い。何せ今僕は体調不良なのだ。今はとにかく体調管理を第一に過ごそう。意外とそうやって過ごした方が無茶をするより勉強も捗ったりするし。最後の結論はWaldには関係なかったけれど大事なことだ。体には気を付けよう。今日はここまで。